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「リテールNo.1」の実現へ向けて

りそなーれ2018年1月 りそなホールディングス兼りそな銀行社長に聞く りそなホールディングス取締役兼代表執行役社長・りそな銀行代表取締役社長兼代表取締役社長 東 和浩

企業の存在価値は本業を通じて社会的課題を解決すること

CT技術の普及などを背景にグローバル化が加速し、地球が小さくなっていると感じています。一方、足元では内向き志向も見られ、景気や経済が安定しているにもかかわらず、世界は多くの不確実性を抱えている状況です。

気候変動問題やSDGsで掲げられたグローバルな課題には、全世界が協調して取り組む必要があり、企業には、本業を通じて効率的に諸課題を解決していく、持続的な貢献が期待されています。ひと昔前の、本業と切り離された社会貢献ではなく、本業で社会的責任を果たしていくことが求められています。

国内に目を転じると、社会保障費の増大や労働力不足、中小企業経営者の後継者問題など、様々な社会的課題がありますが、その根底にあるのは、少子高齢化であると認識しています。日本は、「課題先進国」といわれていますが、将来、世界各国が直面するであろう課題に先陣を切って取り組むフロントランナーとしての使命を担っているとも考えられます。

こうした社会的課題の解決や環境変化への対応は、企業にとってビジネスチャンスとなります。潜在的なリスクを正しく認識し、社会的課題を解決していくことで企業価値が高まり、さらに新たな社会的課題を解決する――この好循環を生み出していくことに企業の本質的な価値があると思います。

「銀行」は要らない、お客さまに必要なのは「金融サービス」

私は、常々、「銀行」は将来的には必要ないという話をしています。お客さまが求めているものは「銀行」という組織ではなく、「金融サービス」だと考えているからです。実際、従来の銀行業務、例えばローンや決済業務などには、ITや小売など他業態からの参入が相次いでいます。利便性の高い金融サービスであれば、銀行でなくても受け入れられているのです。結果として、こうした業界を跨ぐ競争やデジタル化技術の進展は、従来の「銀行」にも変革を迫り、お客さまの利便性は格段に高まりました。

一方で、お客さまが抱えるお金に関するお悩みが、デジタル化技術やロボットによって解決できるかというと、限界があるのではないかと思っています。お客さまは、データでは測れない漠然とした悩みを抱えているケースが多いからです。お客さまの気持ちに寄り添い、共感することで初めて課題が具体化し、そして、その課題に対するソリューションをわかりやすくご説明し、ご提供していくことに、金融サービス業の存在価値があると考えています。

お客さまになりきる

りそなグループは、個人と中小企業のお客さま、いわゆるリテールに経営資源を集中しており、例えば、貸出の約85%がリテール向けとなっています。りそなグループは、リテールのお客さまの心情を理解すること、つまり、「お客さまになりきって」考え続けることを起点に、ビジネスを展開しています。

多くの個人のお客さまが、高齢化や超低金利環境などから、ご自身の将来の生活に対して不安を抱えていらっしゃいますが、具体的なアクションを起こしている方はごくわずかです。例えば、日本の個人金融資産は1,800兆円程度ありますが、その半分は現金と預金に滞留し、運用に向かっていません。りそなグループのお客さまでも、投資信託などをご利用されている方は、全体の5%程度にとどまっています。まだ対策を立てられていないお客さまには、長期分散投資の有効性を丁寧にご案内し、将来に備えていただく――お客さまお一人おひとりに最適な情報をご提供し、最適なソリューションをご提案しています。

中小企業のお客さまも、成長ステージごとに様々な課題に直面しています。日本の産業は、厚みのある中小企業が支えてきたと思います。そして、今後もその重要性は変わりません。りそなグループは、お客さまの「創業期から成長期、転換期」といったすべてのステージにおいて最適なソリューションをご提供していきたいと考えていますが、これには経営者としっかり話ができるということが大前提となります。昨今は、中小企業のお客さまにとっても、環境問題やSDGsなどの社会的課題への対応がより重要になっています。大企業に比べて経営資源が必ずしも潤沢でない中小企業のお客さまは、対策が後手に回り、突然サプライチェーンが寸断されるといったリスクが相対的に高いと想定されます。こうした経営全般にかかわる情報を積極的にご提供していくことが金融サービス業に求められており、りそなグループはその期待にお応えしていきます。

3つの「オムニ戦略」

基本戦略

  1. (1)「オムニ・チャネル」の進化
  2. (2)「オムニ・アドバイザー」の育成
  3. (3)「オムニ・リージョナル」体制の確立

私は、これまでの「銀行」は、ごく一部のお客さまの課題しか解決できていないと感じています。りそなグループは、お客さまの求める金融サービスを通じて、すべてのお客さまの課題解決にチャレンジしていきたいと考えており、その決意を昨年4月に公表した「中期経営計画 ~ Change to the “Next”~」に込めました。基本戦略として掲げた3つの「オムニ戦略」を通じて、「次世代リテール金融サービスモデル」を構築し、お客さま、地域の発展とりそなグループの持続的な成長を実現していきます。

3つの「オムニ戦略」を中長期的な目線で展開していくことを通じて、社会的課題を解決し、お客さま価値を創造していくことを目指しています。そして、その結果として、「リテールNo.1」の金融サービス業が実現できるものと信じています。

オムニ・チャネル戦略

「なぜ、銀行は午後3時に閉まるのか」「なぜ、銀行は土日に営業していないのか」「なぜ、これほど手続きに時間がかかるのか」「記入する書類が多すぎる」「印鑑が面倒だ」――。こうしたお客さまの「不便」「不安」「不満」「不信」といった「不」を一つひとつ取り除き、より多くのお客さまに「いつでも」「どこでも」最適なソリューションをご提供していく取り組みが「オムニ・チャネル」戦略です。インターネットやスマートフォンなどを通じてお客さまへアクセスする「ネットチャネル」と、店舗でお客さまと対面する「リアルチャネル」をそれぞれ強化し、連携させる取り組みを進めています。

「ネットチャネル」では、スマートフォンによるサービスを拡充しています。りそなグループは約1,600万人の個人のお客さまとお取引がありますが、実際にお会いできているお客さまは全体の1割程度で、大半のお客さまに十分なサービスをご提供できていないのが現状です。こうした状況を踏まえ、スマートフォンを起点に、すべてのお客さまが幅広い金融サービスをより快適に、末永くご利用いただけることを目指して開発したのが「りそなグループアプリ」です。チームラボ社との共同開発により実現した優れた操作性をベースに、日常的な金融サービスをご利用いただくとともに、お客さまごとに最適なご提案を最適なタイミングでスマートフォンにお届けしていきます。

一方で、「リアルチャネル」も強化しています。お客さまの想いは、お会いしてお話を伺い、共感することで初めて理解できるものだと考えています。もしかすると近い将来、AIがその領域までカバーしているかもしれませんが、現状は違います。365日、夜まで営業する「セブンデイズプラザ」などの相談特化型ミニ店舗を拡充している背景には、こうした考え方があります。「銀行に行って相談をしたい」というお客さまや、平日に銀行に立ち寄れない勤労層のお客さまが気軽に立ち寄れる拠点を増やし、じっくりとお話を伺い、ベストなソリューションをご 提供できれば、ビジネスは自然に拡大していくと考えています。

「ネットチャネル」と「リアルチャネル」を融合させながら、お客さまのニーズに即したより良いサービスを追求していくことで、差別化されたビジネスモデルを構築していきます。

オムニ・チャネル戦略①:幅広いお客さまの
									日常に付加価値を提供し、広く長いストック型フィービジネスを実現

オムニ・チャネル戦略②:店舗が相談する場に
									なることで、相談ニーズの高いお客さまとの、より深いお取引を促進

オムニ・アドバイザー戦略

私は、オムニ戦略の中核となるのは、オムニ・アドバイザー戦略であると思っています。中期経営計画では、オムニ・アドバイザーを「お客さまになりきる力を備えたソリューション人材」と定義していますが、「これを身につければオムニ・アドバイザーになれる」といった解はありません。多様なソリューションをご案内するためには、信託を含めた広範な業務知識を持つことは必要条件ではありますが、十分条件ではありません。最も重要なのは、お客さまのお悩みは何なのか、どのようなお考えをお持ちなのか、そしてそのお悩みを解決するためにはどのような手段があるのかを考え抜き、わかりやすくお伝えすることです。お客さまからお悩みをお伝えいただけないケースもありますし、そもそもお悩みは漠然とした、捉えどころのないものであることのほうが多いのが実態だと思います。こうした潜在的なお悩みをお客さまとのコミュニケーションのなかから感じ取り、顕在化させることができる人材が、私の考えるオムニ・アドバイザーです。

多様な価値観を持たれるお客さまに対応していくためには、りそなの従業員も多様である必要があります。昨年から、生産性の高い働き方への挑戦として、原則19時までに退社するというルールを設けましたが、その背景には、早く帰って家族と過ごす時間を増やしたり、社外の方と話をする時間をつくることなどで、多様な価値観を持つ人材になってほしいということがありました。

オムニ・アドバイザーの育成には、時間がかかります。ただ、いったん、多様性に富んだオムニ・アドバイザー集団となれば、他社が容易に追随できない、強固な差別化ファクターになると考えています。

オムニ・アドバイザー戦略

オムニ・リージョナル戦略

この戦略は、地域金融機関などの事業パートナーと幅広い連携を進めることで、事業パートナー、りそな、そして何よりもお客さまに大きなメリットをもたらす三方良しの戦略であると確信しています。まず、より多くのお客さまが、りそなのソリューション機能やリテールに特化した、きめ細かなサービスをご利用いただけるようになります。地域金融機関などの事業パートナーにとっては、地域ブランドを維持しながら、りそなの先進的な事務・システムを共有することで効率化やコスト削減が図れます。また、りそなグループにとっては、営業基盤の拡充によって収益機会が格段に増え、生産性も向上します。そして、地域と地域をつなげていくことは、地域のお客さまや金融機関にとっては新たな情報を得る機会となり、地域が抱える問題解決に寄与します。

こうした取り組みを進めるなかで、本年4月より関西アーバン銀行、近畿大阪銀行、みなと銀行の3つの銀行を統合し、関西みらいフィナンシャルグループとして営業をスタートできたことは、非常に大きな成果と捉えています。本統合により、りそなグループの国内有人店舗は840と国内最大級となり、法人のお客さまは約50万社、個人のお客さまは約1,600万人と、それぞれ2割以上増加しました。

新たにりそなグループに加わった関西アーバン銀行とみなと銀行は、ともに地域に密着したリテールに強い銀行であり、目指す方向性は一致しています。それぞれの良さはそのままに、りそなの機能や広域ネットワークをフルに活用して、りそなグループ全体で新たな価値を創出していきます。

オムニ・アドバイザー戦略

ガバナンスの本質

りそなグループのガバナンス形態は指名委員会等設置会社で、社外取締役が取締役の6割を占めています。これは、2003年の公的資金注入後の経営体制刷新に伴い導入されたものです。以降、取締役会では銀行の論理、つまり社内の論理を徹底的に排除して、各々の議案は、「本当にお客さまのためなのか」「世間の常識と照らしてどうなのか」といった本質的な議論を行い、意思決定をしています。

ガバナンスの議論は、形式から入る場合が多いかと思いますが、実質が何かということ、つまり何のためにこの統治システムを導入しているかを常に考えることが重要です。ガバナンスは、単なる牽制システムではありません。

りそなでは、例えばグループ会社の社長、役員が参加する経営改革委員会においても、競争力・収益力の強化など多岐にわたるテーマについて徹底的に議論した後、取締役会での意思決定の段階で必ず社外取締役によるスクリーニングを受ける仕組みになっています。

外部からの視点で「お客さまのため」を志向し続け、迅速に意見交換できるガバナンス形態になっていること、そしてそれが単なる形だけではなく、組織の文化として根づいていることが、りそなグループの強みだと考えています。

「お客さまの喜びがりそなの喜び」を実現する

どの産業においても、すべての起点はお客さまにあります。実際、多くの企業が「お客さま第一主義」を標榜していますが、それが掛け声だけではなく、実質的に機能しているかどうかが勝負になってくると思います。お客さまの声を聞いて、学び、それらを反映した商品・サービスをご提供し続けることが重要です。

りそなグループは「リテールNo.1」を目指しています。他社と同じことをやっていてはNo.1にはなれません。他社への追随は比較的容易にできますが、「お客さまのため」をベースにしたまったく新しい商品・サービスを先頭に立って創造していく過程では、非常に強い風圧を受けることになります。この風圧に耐えられる組織をつくり上げることで、りそなの原点、つまり、「お客さまの喜びがりそなの喜び」を実現する力が備わり、持続可能な社会の形成を後押しできる企業に成長していけると考えています。

今後とも、皆さまの一層のご支援、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。