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経営者インタビュー

「リテールNo.1」の実現へ向けて りそなホールディングス取締役兼代表執行役社長 東 和浩

日本を取り巻く環境

日本経済は、グローバル化が加速するなかで、世界経済の動きに大きな影響を受けながらも、緩やかな回復が継続しています。しかしながら、より長い目線で俯瞰すると、少子高齢化が進むなかで、人口が減少に向かう構造問題に直面しています。

1,830兆円に上る家計の金融資産の約65%を60代以上の方々が保有するなど、世代間格差が広がっています。中小企業では後継者不在や人手不足などが喫緊の経営課題として認識され、事業拡大の制約要因になっています。

地球規模で起こる気候変動問題も、日本社会に影を落とし始めています。エネルギー問題や、集中豪雨などの自然災害は、人々の生活に直接的な影響を及ぼしており、地球温暖化を身近に感じることが多くなりました。

こうした長期的な課題や顕在化しつつある脅威には、社会全体で備え、これを解決していく必要があります。これらは、企業にとってリスクである一方、大きなビジネスチャンスとなります。これまで経済合理性を見出せていなかった領域に新たな「イノベーション」をつくり出すことで、社会課題を解決し、企業価値の向上を実現していく。ここに、これからの企業の存在価値があると、私は考えています。

りそなのSDGs経営:「本業×イノベーション」を通じた社会課題解決により「リテールNo.1」を実現

りそなホールディングスは、2018年11月、「2030年SDGs達成に向けたコミットメント~Resona Sustainability Challenge 2030~(以下、RSC2030)」を公表し、金融サービスを通じて、活力あふれる地域社会を実現していくことを宣言しました。RSC2030では、りそなの強みを活かし、本業を通じて解決に貢献できる社会課題として、①地域、②少子高齢化、③環境、④人権の4項目を特定し、それぞれの具体的な取り組みとしてアクションプランを定め、実践しています。

私は、この4つの社会課題がもたらすリスクを、イノベーションを通じてビジネス機会に変えることで、りそなグループがお客さまとともに成長していく好循環を生み出していくことができると考えています。

少子高齢化の進展、人口減少により、様々な業界でマーケットの縮小が心配されています。銀行業界も例外ではありません。フィンテックの台頭、これまで日本の産業を支えてきた間接金融への依存度低下など、旧来型の銀行の役割は終わりつつあるという議論もあります。確かに、「銀行」は要らなくなるかもしれません。一方、お金の悩みを解決する「金融サービス」の必要性はむしろ高まっていくはずです。

りそなは、全てのビジネスにおいて、社会課題の解決を起点に、お客さま目線のサービスをご提供しています。お客さまに付加価値を感じていただくとともに、地域社会の持続的発展を実現し、それを事業化することで自らの成長につなげていきたいと考えています。

例えば、高齢化が進めば、個人のお客さまではリタイア後の資産や相続など、中小企業の経営者では事業承継など、解決すべき課題が増えていきます。こうしたニーズに対応するためには、やはりご相談のためのチャネルが重要だと私は考えています。お振り込みなどのお取引はデジタル化により利便性を高めていく一方、相続や事業承継といったお悩みにはしっかりとした対面によるコミュニケーションが必要です。地域社会にとって、気候変動をはじめとした環境問題も深刻な脅威です。りそなは、環境に重大な負の影響を及ぼすおそれのあるプロジェクトや石炭火力発電事業への新規融資は、災害時対応などの真にやむを得ない場合を除き、行わないことを表明しています。また、信託財産の運用業務においても、投資先企業の環境への取り組みはエンゲージメントの際の重要なテーマとなっています。金融サービスを通じて低炭素・循環型社会を実現していくことは、りそなグループの社会的使命であると考え、組織的な取り組みをさらに進めていく考えです。

りそなの原点は、「どのように社会のお役に立てるのか」を常に考え、既成概念にとらわれないイノベーションに取り組みながら、銀行業から金融サービス業へと進化していくことにあります。

これまでも、お客さまが銀行に抱く「不便」「不安」「不満」「不信」を一つひとつ取り除き、お客さま価値の向上に努めてきました。例えば、営業店を午後3時に閉めるのではなく、「平日午後5時までの営業」をいち早く始めました。「振込の24時間365日化」もりそなグループが先鞭をつけ、昨年から他の金融機関との間でも当日振込ができるようになりました。

こうしたイノベーションをさらに進めていくため、2020年3月期までの3年間をカバーする中期経営計画において3つの「オムニ戦略」に取り組んでいます。

SDGs経営:本業を通じた社会課題の解決により「リテールNo.1」を実現

3つの「オムニ戦略」を通じたイノベーションの創出

オムニ・チャネル戦略

「オムニ・チャネル戦略」は、ネットチャネル(非対面)とリアルチャネル(対面)、それぞれを強化し融合させることで、より多くのお客さまに「いつでも」「どこでも」最適なソリューションをご提供する戦略です。ネットチャネルでは、2018年2月にリリースした「りそなグループアプリ」のダウンロード数が100万を超えました。このアプリは、リリース後に寄せられたユーザーの声をいち早く反映し、より便利にご利用いただけるよう、既に500ヵ所以上の改善を加えています。

既存システムの制約といった銀行側の都合を優先させてつくったサービスを使っていただくのではなく、カスタマーファーストでサービスをつくり上げ、高いお客さま満足につなげていくことが「リテールNo. 1」を実現していくうえで不可欠なアプローチと考えています。

リアルチャネルでは、原則年中無休の「相談特化型店舗」を26拠点まで拡大させました。店舗を大幅に削減していく方向性を示す銀行も散見されますが、りそなグループは店舗をお客さまとの重要な接点と位置づけ、店舗数は可能な限り維持していく方針です。

ただし、ローコスト運営も同時に実現していかなければなりません。私は常々、「コストを制する者がリテールを制する」と言っています。りそなでは、これまでオペレーション改革と称して銀行の事務量削減とお客さま利便性向上の両立に努めてきました。具体的には、2005年3月期から2016年3月期までに営業店の事務量を半減させ、店舗の少人数運営体制の基礎を築いています。現在、2022年3月期までに事務量をさらに半減させることを目指し、デジタル化を通じて一層のローコスト運営体制の構築に取り組んでいます。

オムニ・リージョナル戦略

「オムニ・リージョナル戦略」は、地域金融機関やフィンテック企業などとの幅広い連携を通じ、より多くのお客さまに新たな価値をご提供していく戦略です。2019年3月期は、2018年4月に始動した関西みらいフィナンシャルグループをはじめ、国際業務で横浜銀行および大同生命と業務提携を開始するなど、お客さま基盤の拡充と機能の強化が進展しました。

関西みらいフィナンシャルグループでは、統合シナジーを早期に実現するべく、スピード感を持って統合作業を進めています。2019年4月には関西アーバン銀行と近畿大阪銀行が合併し、関西みらい銀行がスタートしました。関西みらい銀行は2019年10月に、みなと銀行は2021年度下期にりそなシステムへの統合を予定しています。グループ全体で柔軟性に富む最新のシステムを共有することで、お客さまにご提供できる商品やサービスの範囲が格段に広がると同時に、コストシェアリングを通じたメリットも大きくなります。また、関西みらい銀行では、大阪を中心に隣接する店舗の統廃合を進めていきます。複数の店舗が同居するブランチ・イン・ブランチや、グループ銀行で店舗を共同利用するバンク・イン・バンクなどの手法も検討し、お客さまの利便性維持と効率化の両立を目指します。営業面では、既にりそな銀行の信託や不動産仲介といったプラットフォーム機能活用に向けた人材交流が進んでいます。承継信託の新規受託件数が大きく増加すると共に、ビジネスマッチングなどでも大きな成果がでています。今後さらにイノベーションを通じて収益・コスト構造改革を加速させていきます。りそなのノウハウを活用できる領域は多分にあり、今後の伸びしろは大きいと考えています。

オムニ・アドバイザー戦略

「オムニ・アドバイザー戦略」では、お客さまになりきる力を備えたソリューション人材を育成することを目指しています。一朝一夕には成し得ず、地道な取り組みが求められますが、これに成功すれば簡単には真似のできないりそなグループ独自の強みになると考えています。

7月に「りそなアカデミー」を開校しました。様々なコースを設けていく予定ですが、まずは独立系金融アドバイザー(IFA)レベルの人材を育成するコースをスタートさせました。座学だけではなく、お客さまを訪問する際の段取りからコミュニケーションの取り方、提案・解決力の向上といったことまで含めた実践的な教育体系としています。きちんとお客さまの将来設計に付加価値の高い提案ができる人材の育成を目指しています。

SDGs経営を支える強固なガバナンス

常にお客さま目線に立ったイノベーションを起こし続けるには、外部のステークホルダーの目線が経営に反映される仕組みが必要です。

りそなホールディングスのガバナンス形態は、指名委員会等設置会社で、取締役11名のうち社外取締役が6名と過半を占め、「コーポレートガバナンスに関する基本方針」にも「独立性の高い社外取締役を過半数とする」ことを明記しています。さらに、指名・報酬・監査3委員会の委員長全てを社外取締役とするなど、社外の視点を経営に十分活用し、意思決定の透明性と公正性が確保される体制を構築しています。

金融や法曹界、製造業や流通業など多様なバックグラウンドを有する社外取締役に積極的に議論してもらうための工夫として、事前説明の徹底、質疑時間の確保、意見・要望の管理、取締役会終了後のフリーディスカッション形式での意見交換、新設部署などへの見学会などを実施しています。また、毎年、各取締役による取締役会の運営、議題及び機能等に対するアンケート形式による評価及び意見をもとに、取締役会全体の実効性などについて分析及び評価を行っています。これらの体制整備や取り組みを通じ、取締役会では非常に活発な議論が行われています。

社内役員の育成にも力を入れています。後継者育成計画「りそなのサクセッション・プラン」として、グループ内の銀行も含め、社長から新任役員候補者までを対象として、体系立てた育成と選抜に取り組んでいます。サクセッション・プランは、毎年度、社外取締役のみで構成される指名委員会によって、その方針を議論、決議し、運営しています。指名委員会が役員の選抜・育成プロセスに積極的に関与する仕組みにより、高い透明性のもとで役員の能力・資質の把握と同時に全体の底上げが図られています。

「お客さまの喜びがりそなの喜び」

この1年間を振り返っても、りそなは、「りそなグループアプリ」の拡充や「りそなキャッシュレス・プラットフォーム」のサービス開始など、りそなグループのブランドを高める取り組みを矢継ぎ早に展開しています。キャッシュレス化は、消費者の利便性を高めるとともに、事業者には人手不足対策など生産性向上の一助となり、日本経済全体に大きなメリットをもたらします。今後も、こうした社会課題を解決する商品やサービスをより多くのお客さまにご利用いただき、私どももさらなる成長を実現していきたいと考えています。

私は、日ごろから社員に「正々堂々」と勝負し、「リテールNo.1」の実現へ向けた取り組みを強化するように話しています。どのような競争環境の中であっても、嘘やごまかしを行う者は、市場から退出を求められます。常にお客さまの目線で考え続けることが、持続的な成長を達成する鍵であると考えています。

今後とも「お客さまの喜びがりそなの喜び」という基本姿勢を貫き、企業価値の最大化に努めていきます。
皆さまの一層のご支援、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。