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経営者インタビュー

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「リテールNo.1」の
実現へ向けて

りそなホールディングス取締役兼代表執行役社長

南 昌宏

「リテールNo.1」の
実現へ向けて

りそなホールディングス取締役兼代表執行役社長

南 昌宏

  • 統合報告書(ディスクロージャー誌2020 ハイライト編)からの転載です。

2020年4月に、りそなホールディングスの代表執行役社長に就任しました。りそなグループは、その起源をたどれば100年を超える歴史を有し、その間、多くの方々に支えられ今日を迎えています。私の使命は、長いリテール特化の歴史に裏打ちされた「りそなの強み」をさらに深化させるとともに、「変革のDNA」を受け継ぎ、時代の転換点にあって、お客さまに新しい価値をご提供するために、3万人を超える全役職員とともに、恐れずに変化し続けることだと考えています。

今後も、地域とリテールに軸足を置き、「お客さまの喜びがりそなの喜び」という基本姿勢を貫きながら、お客さまから最も支持されるリテールNo. 1グループを目指していきます。

環境認識

新型コロナウイルス感染症の拡大により、人、モノの移動をはじめとして、世界各国で様々な活動が制約されるなか、世界経済は深刻なダメージを受け、新たな難局に直面しています。収束に向けた見通しは未だ不透明であり、社会が安定を取り戻し、経済活動がコロナ前の水準に回復するまでには一定の時間がかかる可能性が高く、不確実性を前提に現実と向き合っていく必要があります。

新型コロナウイルス感染症がもたらす、日常やこれまでの常識の変化に加え、お客さまのこまりごとやニーズそのものが変化していくことを前提に、今一度ビジネスのあり方そのものを再考すべき時期だと考えています。

また、世界規模での気候変動リスクの高まりや、国内における少子高齢化の加速など、中長期目線で解決を図るべき重要な社会課題も山積している状況にあります。

私たちは、こうした様々な変化を新たな機会と捉え、これまで経済合理性を見出せなかった領域に対しても、新たな発想をもってイノベーションを生み出すことで、社会課題を解決し、企業価値の向上を実現していくことが重要であり、ここに、これからの存在価値があるものと考えています。

りそなのSDGs経営:「本業×イノベーション」を通じた社会課題解決により「リテールNo.1」を実現

りそなの価値創造モデル

りそなグループの価値創造モデルは、「お客さまのこまりごと」「社会課題」を起点にビジネスを考え抜くことを出発点としています。これまで培ってきた「りそなの強み」をベースに、お客さまとの接点を重視し、社会課題を解決していくという軸がぶれることはありません。

一方で、産業や社会構造が大きく変わり、テクノロジーが圧倒的に進化するなかで、お客さまの価値観やビジネス、金融行動そのものが大きく変化しています。私たちは、こうした変化に適合し、既成概念にとらわれることなく、新たな顧客体験の創造、新たなお客さま価値の提供を目指します。

りそなのSDGs経営:「本業×イノベーション」を通じた社会課題解決により「リテールNo.1」を実現

優先的に取り組むテーマ・社会課題

2018年11月に、「2030年SDGs達成に向けたコミットメント(Resona Sustainability Challenge 2030)」(以下、RSC2030)を公表しました。このなかで、私たちが優先的に取り組むべきテーマとして、①地域、②少子高齢化、③環境、④人権の4つの項目を特定し、それぞれの課題解決に取り組んでいます。

私たちの「経営理念」「強み」と照らし合わせ、経営層をはじめ全従業員から幅広い声を集めたうえで、りそなグループに最も親和性が高い項目として、これらを特定しています。

ここでの課題解決を通じた社会への貢献こそが、りそなグループの強みが活きるところ、すなわち存在価値です。今後の変化も見据えつつ、こうした社会課題を新たなビジネス機会に変えていくことで、りそなグループがお客さまとともに成長していくという好循環を生み出していきたいと考えています。

りそなの強み

私たちの強みは、グループの各銀行が長い歴史のなかで築きあげてきた「首都圏・関西圏におけるリテールのお客さま基盤の厚み」「地域に根差したリレーション力」「フルラインの信託・不動産機能」「年金運用で培った運用力」、そして「人財」にあると考えています。今後は、人財とテクノロジーの共鳴、リアルとネットの共鳴、デジタル&データの融合などを通じ、「次のりそな」に向けて、新たな化学反応を起こしていきたいと考えています。

本邦最大の信託併営リテール商業銀行グループの強み

りそなグループは、本邦最大の信託併営商業銀行であるりそな銀行、埼玉県で圧倒的なシェアを誇る埼玉りそな銀行、そして関西で最大規模の地域金融機関である関西みらいフィナンシャルグループ(以下、KMFG)で構成される地域密着型の金融サービスグループです。

今後、事業や資産の次世代への円滑な移転、人生100年時代を見据えた資産運用ニーズなどは大きな潜在マーケットであると考えています。①「商業銀行としての厚いリテールのお客さま基盤(個人1,600万人、法人50万社)」×②「フルラインの信託・不動産機能」×③「年金運用で培ってきた運用力のリテール分野での活用」の組み合わせが大きな武器になると確信しています。

「りそな改革」によってもたらされた強み

2003年6月、りそなは、預金保険法に基づく公的資金1兆9,600億円の注入に至りました。こうした事態に至った真因を徹底的に考え抜き、真のリテールバンクを目指した「りそな改革」、そこで培われた「変革のDNA」が、りそなのもう一つの強みの源泉です。

りそな改革で取り組んだのは、「ガバナンス体制の高度化」「財務改革」「サービス改革」そして「オペレーション改革」でした。

「ガバナンス体制の高度化」では、邦銀グループ初となる指名委員会等設置会社へ移行し、様々な業界出身の社外取締役が過半を占める取締役会構成としました。現在も、この形態は変わらず、指名委員会、報酬委員会、監査委員会の委員長には、すべて社外取締役が就任しています。取締役会では、非常に活発な議論が継続されており、外部のステークホルダーの視点が経営に深く反映されています。

「財務改革」では、抜本的な不良債権処理を断行し、政策保有株式を大幅に削減、貸出金の小口分散化を図り、安定性を重視する有価証券運用体制を構築しました。健全なバランスシートは、リーマンショック時も含め安定した黒字体質の礎となっています。

「サービス改革」では、お客さまの待ち時間をゼロとする取り組みや、営業時間の午後5時までへの延長など、銀行の常識を打ち破る改革を進めました。こうした取り組みを通じ、従業員に「お客さまの喜びがりそなの喜び」という基本的な考え方が浸透しました。

お客さま利便性の向上と銀行の生産性向上の両立を図る「オペレーション改革」では、2005年からの10年間で営業店の事務量を半減させました。現在、30店舗まで拡大した原則年中無休の相談特化型店舗も、少人数運営体制の構築を通じて実現したものです。リテール業務は、一般にコストがかかるといわれるなか、一定のコスト優位性を獲得するに至りましたが、引き続き業務プロセスの再構築・デジタル化などを通じて、さらなるローコスト運営を追求しています。

中期経営計画~レゾナンス・モデルの確立~

レゾナンス・モデル

2020年5月、新たな経営体制のもと、3年間を計画期間とする「中期経営計画~レゾナンス・モデルの確立~」(以下、本計画)を公表しました。「りそな」の社名の由来にもなっている「レゾナンス」とは共鳴を意味しており、長期的なビジョンとして、「持続可能な社会」と「りそなグループの持続的な成長」の共鳴を掲げています。

「レゾナンス・モデル」は、既存領域における強みにさらに磨きをかけて“差別化”を図る「深掘」、“脱・銀行”に向けて取り組む新たな創造としての「挑戦」、そして、この2つのチャレンジを支える次世代の「基盤の再構築2nd」、この3つで構成されるものです。

加えて、「デジタル&データ」「デザイン思考」「オープン」をイノベーションに向けたドライバーとして、これまでのビジネスモデル・経営基盤を変革していきます。

中期経営計画~レゾナンス・モデルの確立~

基盤の再構築

前中期経営計画(以下、前中計)を振り返りますと、基本戦略であるオムニ戦略は着実に進展しましたが、「収益・コスト構造改革」は道半ばであり、収益目標についても未達に終わったという現実に、真っすぐに目を向けなければならないと考えています。資金循環構造の変化や長引く超低金利環境、異業種を含めた競争の激化で、貸出を中心とした伝統的な銀行ビジネスの収益性が低下トレンドにあるなか、トップラインの水準とそれを支える基盤やコスト構造にミスマッチが生じており、ここに大きなメスをいれていく必要があります。

地道な業務改革を継続する一方、ギアをもう一段上げて、銀行そのものの構造を変えていくという長期的な視点に立ち、「基盤の再構築」に改めて取り組むことでリテール業務に内在する高コスト性の打破を目指します。

私たちは、「りそな改革」によって、銀行のこれまでの常識を打ち破る様々な取り組みを実践してきました。こうした「変革のDNA」を受け継ぎ、テクロノジーが圧倒的に進化するなかで、いま一度、新たな発想とアプローチで「破壊的創造」にチャレンジしていきます。

現状は、1万人を超える事務のプロ人員と勘定系を中心とする既存のシステムが複雑な事務を支えていますが、この構造を大きく変えていきます。本年4月に、クロス・ファンクショナル・チーム(以下、CFT)という組織横断的な専担チームを立ち上げました。CFTでは、自由な発想や、デジタル分野を中心とする外部の先進的な知見を積極的に取り入れ、お客さまの利便性向上と業務プロセスの徹底的な断捨離を進めていきます。

本計画期間よりも少し長い時間軸になると思いますが、「相談と手続き」を一体化させ、バックヤードでの事務処理が無い一線完結型の業務プロセスの実現を目指します。ご提案からお手続き完了までタブレットで完結、結果としてバックヤードを支える事務のプロ人員はゼロとなり、全従業員が営業を行う、「全員コンサルティング体制」への移行を目指します。

システムについても、テクノロジーの進化を見据えた既存システムの縮小と次世代化への取り組みを加速させます。デジタル分野への戦略的投資を増加させ、開発スピードを大幅に速めることで、新商品やサービスをスピーディーに投入することが可能な環境を整えていきます。

昨今、銀行が支店を大幅に削減するという話題がよく聞かれます。りそなグループにおいても、関西みらい銀行を中心に近接する店舗は、ブランチ・イン・ブランチなどの手法を活用してお客さまの利便性を維持しつつ、一定の合理化を図ります。

一方で、私は、金融サービスにおける対面ビジネスの力を信じています。首都圏・関西圏を中心とする800を超える国内最大規模のリアルチャネルは、損益分岐点を下げ、ミッションの変更を行いながら、新たな成長ドライバーに変えていきたいと考えています。また、デジタルチャネルとしての「りそなグループアプリ」のダウンロード数も230万を突破するなど成長軌道にあり、データを中心に対面チャネルと非対面チャネルが融合する次世代型のネットワークの構築を進めていきます。今後は、「いつでも」「どこでも」お客さまが望む時間に、簡単・便利に、きめ細かなサービスをより多くのお客さまにご提供できる体制構築を目指します。

深掘

「深掘」では、私たち自身が、今一度「りそなの強み」を再認識したうえで、時代の変化に適応させながら、どう磨いていくかということがポイントです。ここにも、成長余地は十分にあると捉えています。例えば、りそなグループが力点を置いている「承継」は、資産と事業の次世代への円滑な移転ニーズが拡大するなか、りそなが持つ厚いお客さま基盤とフルラインの信託・不動産機能がベストマッチする領域です。人生100年時代に備えた「資産形成」の分野では、中長期的な目線でのコンサルティング人財の育成を継続するとともに、長年の企業年金運用で培ったプロ向けの運用機能をリテールのお客さまにしっかりとご提供していくために、2020年1月にグループの運用機能をりそなアセットマネジメントに集約しました。「リテール×信託×運用」という「りそな」ならではの特長を活かして、さらなる差別化を図っていきます。

深掘×挑戦

「深掘」×「挑戦」は、前中計において種をまいてきたビジネスが、今後さらに実を結んでいく分野です。「決済」では、拡大するキャッシュレス市場において、独自の商品・サービスをご提供することで、日本経済全体にも大きなメリットをもたらしていきたいと考えています。りそなでは、個人のお客さまが新規口座を開設される際に、キャッシュカードに非接触型のデビットカード機能を標準装備しています。法人のお客さまには、前期から本格スタートしたりそなキャッシュレス・プラットフォームをご提供していきます。成長分野にしっかりと経営資源を再配分し、社会のニーズにお応えすることで、新たな収益機会を捕捉していきます。

2018年4月に本格スタートしたKMFGは、当初計画に対して業績面での進捗は道半ばという状況ですが、昨年4月の関西アーバン銀行と近畿大阪銀行の合併による関西みらい銀行の創設、その後6ヵ月で事務・システム統合を実現できたことなど、今後のトップラインシナジー、コストシナジーの発揮に向けた地ならしは十分整ったものと考えています。

KMFGも、本年5月、りそなホールディングスと同じタイミングで、新たな中期経営計画を策定・公表しており、りそなグループ内での健全な競争と協調を基本方針として、新たな成長に向けてしっかりと取り組んでいきます。

挑戦/オープン

“脱・銀行”に向けた「挑戦」では、「オープン」が重要なキーワードです。お客さまの価値観が多様化・高度化・複雑化するなかで、銀行の枠組みを超えた新たな発想と、幅広いつながりを通じて、お客さまや社会に対して新たな価値をご提供できるかが重要なポイントです。先にふれたCFTには、この領域での活躍も期待しています。

現在は、100%、お客さまが銀行を選ぶ時代です。お客さまのこまりごとを銀行が持つ知見やノウハウだけで解決していくことには限界があり、お客さまの多様化するニーズを満たしていくためには、「外」の知見・ノウハウ・お客さま基盤などとも積極的に連携していく必要があります。

地域金融機関の皆さまとのつながり方も、変化しています。APIなどの戦略的な活用により、本格的なシステム統合を行うことなく、商品・サービスを共有できる範囲が広がっています。お客さま起点で、オープンプラットフォーム化を進め、異業種も含めた幅広い連携を通じ、お客さまに新たな顧客体験をご提供していきたいと考えています。

デジタル&データ、デザイン思考

非連続な変化をも想定していく必要があるなか、デジタルトランスフォーメーション、コーポレートトランスフォーメーションという構造的な見直しが必要な時期だと思います。

一例として、今後のお客さま接点を考えるうえでも、国内ではご高齢のお客さまが多く、ITリテラシーにもまだバラツキがある状況下、リテール金融で勝ち残っていくためには、対面チャネルと非対面チャネルがデータを介して融合していくことが重要だと考えています。データ利活用という点では、800を超える対面チャネルで得られる良質なデータと、3年後には500万ダウンロードを展望するりそなグループアプリなどの非対面チャネルで得られる高頻度・広範囲なデータ、さらには幅広い「外」との連携を通じて得られた多様なデータは、今後のビジネス展開を支える宝物だと思います。こうしたデータ利活用を進めることで、予測の精度を高め、コミュニケーションの質量を上げることで、お客さまにより身近で、使い勝手の良い金融サービスをご提供していきます。

「デザイン思考」とは、脱銀行に加えて、徹底してお客さまの視点に立つということです。貸出業務に依存しがちな銀行の発想を転換し、お客さまのこまりごとを解決するためにどのようなソリューションをご提供できるかが、今後の試金石だと思います。こうした取り組みを通じ、お客さまとWIN-WINの関係を築いていくことで、結果として、フィー収益の比重を高めていきます。そして、中長期的にはフィー収益で経費が賄えるレベルまで収益・コスト構造改革を進めていきたいと考えています。本計画はそのためのファーストステップと位置づけています。

終わりに

世界は、新型コロナウイルス感染症との戦いの真っ只中にあります。りそなグループは、日本の社会インフラの一翼を担う金融機関として、円滑な金融サービスのご提供や資金繰り支援など、お客さまの生活や事業を守ることを最優先する業務運営を継続しています。

一方、新型コロナウイルス感染症は、これまでの常識や価値観を根底から大きく揺さぶったと考えており、アフターコロナの世界では、社会全体にかつてないほどの大きなパラダイムシフトが起こる可能性があります。お客さまの生活様式や働き方は大きく変わり、お客さまのこまりごとや社会課題も変化してくるのではないでしょうか。私たちもこうした変化に、しっかりと対応し適切なソリューションを展開できるかどうかが勝負の分かれ目です。長いリテール特化の歴史のなかで培った確かな強みと、変革に挑み続けるDNAを持つ私たちだからこそ、この激動の時代に新しいりそなを創造していけると確信しています。

「リテールNo. 1」とは何を意味するのか、と聞かれることがありますが、私は、「リテール金融といえば『りそな』と即座に頭に浮かべていただけるような、トップブランドを創ること」だと考えています。今後も、お客さまに圧倒的な利便性と最適なソリューションをご提供し、地域経済の発展に貢献するとともに、従業員一人ひとりが成長できる職場を築き上げることで、グループ企業価値の最大化に努めていきます。
皆さまの一層のご支援、ご鞭撻を賜りますよう、お願い申し上げます。