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経営者インタビュー

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「お客さまのこまりごと」「社会課題」を起点に、従来の銀行の常識や枠組みにとらわれない、次世代のリテールサービス企業を目指します。

りそなホールディングス取締役兼代表執行役社長

南 昌宏

「お客さまのこまりごと」「社会課題」を起点に、
従来の銀行の常識や枠組みにとらわれない、
次世代のリテールサービス企業を目指します。

りそなホールディングス取締役兼代表執行役社長

南 昌宏

  • りそな総合研究所株式会社が発行する会員向け情報誌「りそなーれ」2021年1月号からの転載です。

―明けましておめでとうございます。

 おめでとうございます。

―南社長は、就任後初めての新年となりますが、まずは、社長就任を打診された時のお気持ちをお聞かせいただけますか。

 「何よりも驚いた」というのが正直なところです。時代の大きな転換点にあって、ありきたりですが、身の引き締まる思いでした。

―社長交代が公表されてからの報道では、東和浩前社長からかなり若返ったと、その年齢について強調されたものも多かったようです。

 確かにそういう報道もありましたが、個人的には年齢を気にしたことはありません。世の中には、もっと若いリーダーの方々がたくさん活躍されています。

年齢よりも、りそなショックから再興の道筋をつけられた故細谷、公的資金の返済を成し遂げた東の後を継ぐ、第3世代という意識のほうが強かったですね。りそなグループも、紆余曲折はありましたが、多くの方々に支えられ、応援していただいて今日を迎えています。

変化の時代に、今度はわれわれがお客さまにどのような新しい価値を提供できるのかを真剣に考え、改めて社会に恩返しをさせていただくために、3万人を超える全役職員とともに、前進していきたいと考えています。

新型コロナが加速させた社会の変化をグループのさらなる進化につなげる

―そういう決意を新たにして間もなく、新型コロナウイルスの感染拡大に直面してしまいました。

 就任して、すぐに緊急事態宣言が出されました。特に4月、5月は、官民一体となった、お客さまの資金繰りへのサポートが大きな命題の一つでした。新型コロナウイルスの感染拡大の影響が大きいといわれる業種であっても、個々の企業によって、ビジネスモデルや財務等の状況は異なり、それぞれが受ける影響も千差万別です。

われわれは、お客さまの声にしっかりと耳を傾け、お客さまに寄り添いながら、それぞれの企業に最も適したソリューションをいかに提供できるかという点に集中してきました。
また、今後の影響で申し上げれば、新型コロナウイルス感染症は、これまでの常識や価値観を根底から揺さぶったと考えています。もとより、VUCA(ブーカ)といわれる時代に、さらに新型コロナウイルス感染症が直撃したのが現状です。

こうした中で、お客さまのこまりごとは変化し、新たな社会課題も顕在化してくるものと考えています。われわれもこうした変化を的確に捉え、経営改善のサポート、サプライチェーンやバリューチェーンの見直し、事業や資産の承継、デジタル化やキャッシュレスへの対応など、さまざまなニーズに対して最適なソリューションをいかにスピーディーに提供できるかが、勝負の分かれ目になると考えています。

そのために、これまで培ってきたりそなの強みや良さを再認識するとともに、私自身もそしてりそなグループも、恐れずに変化し続けます。

  • Volatility(変動性・不安定さ)、Uncertainty(不確実性・不確定さ)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性・不明確さ)という四つの言葉の頭文字から取ったもので、現代の経営環境や個人のキャリアを取り巻く状況を表現するキーワードとして使われている

―それは、新型コロナショックの前後では、意識が少し変わったということでしょうか。

 もとより、テクノロジーが圧倒的に進化していく中で、お客さまの金融行動そのものが大きく変化していくものと考えていました。また、社会・産業構造も、われわれが入社した頃とは様変わりしました。こうした中で、お客さま起点に立ってもう一度ビジネスのあり方を再構築しなければならない局面を迎えています。加えて、これまでのビジネスを支えてきた仕組みや業務プロセスなども、次世代に向けて見直しが必要です。いわゆる、DX(デジタル・トランスフォーメーション)です。

新型コロナウイルスの感染拡大は、起こりつつあった変化を一気に加速させ、潜在的なニーズやこれまでの組織の脆弱性をあぶり出しました。新型コロナウイルス感染症は大きな脅威ではありますが、社会にもたらす変化を新たな成長機会に変えられるよう、予測と準備を怠ることなく、構造改革を急ぎたいと考えています。

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2020年10月に300万ダウンロードを突破した「りそなグループアプリ」(左)と、同月末時点で約1,500先、1万5,000店舗を超えるまでに拡大した「りそなキャッシュレス・プラットフォーム」(右)

顧客視点で修正し続ける実行力がネットチャネル浸透のカギ

―客観的に見てもりそなグループは、サービス業に向けた取り組みやデジタル化では、時代の半歩先を行っているイメージです。

 そのようなイメージをお持ちいただけるのは大変ありがたいのですが、まだまだ緒に就いたばかりです。やはり、われわれのさまざまな取り組みがお客さまに理解され、お客さまの体験や行動を変えることができて、初めて「リテールNo.1」に近づくものと考えています。

例えば、「りそなグループアプリ」をリリースした時のことですが、競争力があると感じる商品やサービスを提供していることと、お客さまがそのサービスの良さを理解され、実際にご利用されるかどうかはまったく次元の違う話だと改めて痛感しました。商品・サービスの企画段階では、おそらくいろいろな銀行が同じようなコンセプトの商品を考えると思います。リリース後に、お客さまの声に真摯に耳を傾け、サービスを改善し続ける力が、デジタルの世界では大きな差を生む要因だと思っています。

また、われわれが注力する、事業や資産の次世代への円滑な承継や資産運用、法人向けの多様なソリューションビジネスなど、対面ビジネスにおいても同様です。常にお客さまの側に立ち続け、お客さまの声やデータに基づいて、より良いものに修正していくこと。つまり、「お客さまの体験」を進化させていくことが、今後さらに重要になってくると考えています。こうした取り組みを大事にしながら、次世代の金融サービスを次々に生み出していきます。

リアル×ネットの共鳴でトランスフォーメーションを目指す

―メガバンクなどでは最近、支店の統廃合などリアル店舗網を縮小する動きが出ています。

 われわれは、対面(リアル)と非対面(ネット)の融合を通じた、お客さまとの接点の拡充を重視しています。

そして何よりも、金融ビジネスにおける、対面チャネル(フェイス・トゥ・フェイス)の力を信じています。人が目と目を見て話をする中から生まれる価値は、デジタルからは生まれないものだと思います。また、行間を読む力や創造力は、人間が持つ非常に優れた武器であり、決して色褪せることはありません。そして、今後、対面チャネルと非対面チャネル(デジタル)がデータを共有しながら融合していくことで、対面チャネルはさらに存在感を増す特別な接点に進化していくと考えています。

また、バックヤードを支える業務プロセスの再構築を通じて、営業店の損益分岐点を大幅に引き下げるとともに、エリア単位での最適なチャネルネットワークの構築を目指していきます。

一方で、非対面チャネルは時代の要請でもあり、大きな可能性を秘めています。時間や空間の制約を受けることなく、常に双方向でのコミュニケーションをとることが可能となります。加えて、広範囲で高頻度の情報に接することが可能となることでお客さまへの理解が進み、よりタイムリーで適切なご提案が可能になってきます。

対面(リアル)と非対面(ネット)の融合にデータが絡み、化学反応が生じることで、今後5年、10年という時間軸で見た時に、リテール金融に大きな変化が起こると考えています。

―そんな中で昨年8月、りそなホールディングスが銀行業で唯一、経済産業省と東京証券取引所による「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)2020」に選定されました。

 光栄です。一般的にDXの「D」、デジタル側にスポットが当たりがちですが、重要なのは後ろ側の「X」、トランスフォーメーションにあると考えています。DXはビジネスの仕組みやプロセスを構造的に変革することが目的で、デジタルやデータはそれを加速させるための重要な手段だと理解しています。この主従を間違うとおかしな取り組みになってしまいます。

つまり、DXを通じて目指すものは、顧客体験そのものを変えることであり、お客さま側に新たな価値を提供するためのものでなければなりません。

「深掘」「挑戦」「基盤の再構築」で次世代のリテールサービスを実現

―それらを含めて、昨年5月に発表された新中期経営計画について、簡単に教えていただけますか。

 今回の中期経営計画で一番大事にしているのは、すべてのビジネスにおいて、「お客さまのこまりごと」「社会課題」を起点に考えること。そして、従来の銀行の常識や枠組みにとらわれることなく、お客さまに新たな価値を提供していこうということです。

そのためのキーワードが「レゾナンス」です。これは「共鳴」という意味ですが、例えば、「持続可能な社会」と「りそなグループの持続的な成長」の共鳴、「人財」と「テクノロジー」の共鳴、「リアル」と「ネット」の融合など、いろいろな掛け算を通じて新たな化学反応を起こしていく先に、次世代のリテールサービスがあると考えています。

そして、中期経営計画を支える三つの柱を設定しています。

一つ目は「深掘」です。これは100年を超えるリテール特化の歴史の中で培ってきたりそなの強みを再認識し、改めて差別化のための強みに育てていくことです。「リテール顧客基盤の厚み」×「フルラインの信託・不動産機能」×「運用機能」は、今後の事業や資産の承継、人生100年時代への対応など、国内の社会課題解決にも通じるりそなの強みであり、さらに磨きをかけていくべき領域だと認識しています。

二つ目は「挑戦」です。これは【脱・銀行】にもつながるチャレンジです。お客さまの金融行動そのものが変化し、ニーズが多様化・高度化・複雑化していく中で、お客さま起点でビジネスを捉え直そうというものです。りそなグループが持つ基盤や知見・ノウハウだけではなく異業種の方々とも広く連携する、いわゆるエコシステム(生態系)を活用することで、これまで満たすことができなかったお客さまのニーズにもしっかりと向き合っていきたいと考えています。

三つ目の「基盤の再構築」では、「深掘」と「挑戦」の両輪を支える人財や効率的な業務プロセス、営業スタイル、チャネルネットワーク、システムなども、この計画期間中に次世代型に変革したいと考えています。

地域金融機関との関係はウィン-ウィンを基本に柔軟に対応

―新政権発足後、地銀再編が声高にいわれるようになってきました。

 われわれはもとより、地域金融機関とのウィン-ウィンな関係構築を目指してきましたが、この方針は今後も変わりません。例えば、昨年6月には北関東を地盤とする、めぶきフィナンシャルグループとデジタル分野での戦略的な業務提携を締結し、現在、グループアプリでの連携や業務プロセスの再構築などを進めています。今後も、資本面での提携に過度にこだわることなく、地域金融機関の皆さまと、さまざまな連携のあり方を考えていきたいと思います。

―りそなグループにも、関西には複数の地域金融機関があります。

 昨年11月、関西みらいフィナンシャルグループの完全子会社化を公表いたしました。改めて、重要なマザーマーケットの一つである関西での深度ある貢献に向けたコミットメントであり、関西でのプレゼンス向上に向けてグループをあげて取り組んでいきます。

統合から1年で、旧関西アーバン銀行と旧近畿大阪銀行が合併。それから約半年で事務・システム統合を完了するなど、これまでにないスピードで、再成長に向けた地ならしを進めています。

また、みなと銀行が持つ兵庫の県民銀行としての強みと、りそなグループが持つ機能等が融合することで、より多くの地域のお客さまに、新しいソリューションの提供が可能となります。関西地区に関しては、万博など多くのイベントも控えており、これからが本当に楽しみな状況だと考えています。

ウィズコロナ、アフターコロナ時代にりそな総研の果たす役割に期待

―りそなグループは、SDGsを中心としたサステナビリティーへの取り組みでも社会をリードしています。

 われわれは、2018年に「2030年SDGs達成に向けたコミットメント(Resona Sustainability Challenge 2030)」を公表し、2020年はその第1フェーズと位置づけました。先ほど申し上げた「レゾナンス・モデル」においても、「持続可能な社会」と「りそなグループの持続的な成長」の「共鳴」がすべての立脚点となっています。ESG(環境・社会・企業統治)なども含めて、どのように事業の成長と社会課題の解決を融合させていくかが、オールりそなで取り組んでいく大きなテーマだと思っています。

―社会貢献というくくりでは、残念ながら昨年は「キッズマネーアカデミー」が中止となりました。

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で昨年は公募による開催を見送りました。もちろん、今後の感染状況を見極めたうえで、実施可能な開催方法を検討していきたいと考えています。

―最後に、約1万2,500社のりそな総研会員企業に向けて、ひと言お願いします。

 いつも、りそなグループをご愛顧いただき、本当にありがとうございます。そして、新型コロナウイルス感染症により、さまざまな影響を受けられた皆さま方に、改めて、心よりお見舞い申し上げます。今後、ウィズコロナ、アフターコロナという時代の中で、会員企業の皆さまのこまりごともこれから大きく変化していくものと考えています。こうした状況下、資金の円滑なご提供はもとより、お客さまの変化に対して、適切なソリューションを提供させていただくことが、リテールNo.1を目指すりそなグループに課された最大のミッションだと考えています。その意味で、情報面での連携、人財育成、事業承継のコンサルティング等、りそなグループのソリューション提供の中核を担う、りそな総合研究所をぜひご活用いただければ幸いです。

また、りそな銀行、埼玉りそな銀行、関西みらい銀行、みなと銀行はじめ、りそなグループ各社に対し、これからも変わらぬご支援、ご愛顧を賜りますよう、よろしくお願いいたします。