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経営者インタビュー

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IT時代の先をいく
金融の枠を超えた新たなサービスで、
リテールNo.1を目指します。

りそなホールディングス取締役兼代表執行役社長

東 和浩

  • りそな総合研究所株式会社が発行する会員向け情報誌「りそなーれ」2020年1月号からの転載です。

―明けましておめでとうございます。今年は子年で、また新しい十二支がスタートするわけですが、まずは去る2019年(平成31/令和元)を振り返っていただけますか。

 おめでとうございます。昨年は、2018年以前にいろいろ考えたり進めてきたりしてきたことが、実用段階に入ったり本格化してきた年だといえます。例えば、17年に取り扱いを開始した「りそなファンドラップ」がさらに充実し、「りそなグループアプリ」「りそなキャッシュレス・プラットフォーム」も本格稼働を始めました。また、関西みらいフィナンシャルグループとの統合が進み、人事的にもいろいろな新しい施策を展開し始めています。そういう意味で、非常に進歩が感じられる年になりました。

オムニチャネル化の先頭を走る「りそなグループアプリ」

―「りそなグループアプリ」は、お客さまを含め内外から高い評価をいただいているようです。

 一昨年、大手銀行では初めてグッドデザイン賞を受賞したインターフェースもご好評をいただき、毎日少しずつダウンロードするお客さまが増えています。昨年10月末現在で160万ダウンロードに達し、期末の今年3月には200万件までいきそうな勢いです。

日々少しずつ改良し、使いやすさも向上していて、最近では、周りから覗き見られないように残高を目隠しする機能も新しく追加されました。実は私自身、自分のスマートフォン(スマホ)を使って、お客さまにアプリの説明をするときなど、残高まで見られるのは嫌だなと思っていたのですが、こうしたニーズをくみ取り小さな改良を積み重ねているのです。

「りそなグループアプリ」をお使いになるお客さまが増えてきたことで、支店の店頭でスマホでのアプリの使い方についての質問がものすごく増え、対応が追いつかないケースが出てきました。ですから今、社員向けにスマホでのアプリの上手な使い方トレーニングまでやっています。

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サービス開始以来、お客さまから大好評の「りそなグループアプリ」(上)と「りそなキャッシュレス・プラットホーム」

対面サービス力を高めるための「りそなアカデミー」を開講

―では、これからもインターネットを利用したサービスは充実させていくわけですね。

 はい。ただ、これはもちろんスマホを否定する意味でいっているわけではありませんが、同時にりそなグループの社員がお客さまと直接対面するサービスも進化させていく必要があります。ネットを使ったサービスは、それがアプリケーションを使ったものである限り、どんなに革新的なものでもすぐ同じようなサービスが追いかけてきます。一方、リアルな対面サービスは、そう簡単にはまねができません。

―つまり、ネットでもリアルでも、常に競合相手から追いかけられるような存在でなければならない、ということですか。

 そのとおりです。

―人によるサービスの強化という意味では、昨年7月に開講した「りそなアカデミー」もその一環でしょうか。

 ええ。人材育成で徹底的に差別化し、りそなグループをプロ人材の集まりにしようと考えています。これまで日本の銀行は、どちらかというとゼネラリストばかり育成してきましたが、プロフェッショナル志向に変えていこうというわけです。

「りそなアカデミー」は、特定の金融機関に属さず、中立的な立場からお客さまにアドバイスするIFA (Independent Financial Adviser)レベルの人材を育てることを目標にしました。さらに将来は、こうした金融関係のプロに加えて、ITなどいろいろな分野のプロフェッショナルを育成して、それらの人材が混ざり合って業務の質を高めていくというイメージです。

金融だけでなく、IT、マーケティングなどのプロ集団へ

―確かに、支店などでの事務の効率化という意味でも、ITのプロは必要ですね。

 はい。しかも2018年2月からスタートした「りそなキャッシュレス・プラットフォーム」は、キャッシュレス決済の仕組みを提供するだけのサービスではありません。例えば、加盟店のお客さまにプラットフォームを通じて提供される売り上げデータや、顧客データを活用したマーケティングをお手伝いすることもできるため、加盟店の販売システムまで理解し、アドバイスするスキルが必要になります。つまりITが分からないと、金融サービスそのものが提供できなくなってきているのです。

昨年、私がとある雑誌のコラムに、「りそなグループは、今後はIT化支援会社になるかもしれない」と書かれたのは、そういう意図の発言が背景にあります。

―では支店も、今までのように金融関係のご相談に対応するだけでなく、マーケティングやITシステムまでカバーしないといけないわけですか。

 ある意味ではそうなります。ですから大変なのです。もちろん、一人で全部やるのは難しいでしょうから、ベースとして金融やIT関する基本的な知識を身につけたうえで、ITならIT、資産運用なら資産運用と、プロとして自分のやりたいこと、自分が目指したいものを選択できるようにしていきたいと思います。

そのうえで、銀行業から金融サービス業への転換を目指すりそなグループとしては、それぞれの分野のプロが、各々の分野のコンサルティングを行うことのできる能力を身につける必要があります。その基本はコミュニケーション力ですから、最近の社員向け研修ではこの部分にかなり力を入れています。

関西みらい銀行とのシステム統合はシナジーのスピードアップに貢献

―昨年10月には、関西みらい銀行がりそなグループとしてのシステム統合を終え、みなと銀行も含めたシナジーも出てきているかと思います。

 毎月、関西みらいフィナンシャルグループ(FG)を含むりそなグループでミーティングをしていますが、方向性に関しては全社で一致しているので、とてもよい雰囲気です。関西みらいFGにとっては、関西みらい銀行全店で「りそなファンドラップ」などの従来なかった商品を扱えるようになりました。また、信託や不動産などのサービスを提供できるようになったことで、より一層サービスの幅が広がり、りそなグループにとっては、国内有数のポテンシャルを持つ関西マーケットで、より大きな存在感を示すことができるようになるなど、それぞれ大きなメリットが生まれつつあります。

そもそも、お客さまのバラエティー、ボリュームが増すこと自体が、お客さまにとってもわれわれにとっても大きなメリットです。例えば海外では、日系企業同士の交流の機会が少ないため、われわれが現地で交流会を開くと多くの日系企業の方々に参加していただけます。そこに最近では、りそな銀行のお客さま、関西みらい銀行のお客さまが参加されて情報を交換する。こういう仕組みをどんどんつくっていくことで、さらにメリットを増やしていけると考えています。

昨年のシステム統合は、これらのシナジーをさらにスピードアップさせるものと期待しています。

りそなグループの海外ネットワーク

りそなグループの海外ネットワーク

業務提携や海外子会社の増資により、海外でのサポート体制はさらに充実

―国際ビジネスでは、横浜銀行、大同生命との業務提携も話題になりました。

 2018年に横浜銀行、大同生命と国際業務で相互連携することに合意、昨年にはインドネシアのりそなプルダニア銀行に対する両社からの出資も完了しました。

業務提携により、りそなグループのお客さまは、りそなの海外拠点だけでなく、横浜銀行上海支店など双方の海外拠点や機能を活用することができるようになりました。

また、両社から紹介を受けたお客さまの海外進出や貿易取引をりそながサポートすることで、当社のお客さま基盤の拡充にもつながっています。昨年9月に開催したインドネシアでのお客さま交流会には両社のお客さまにもご参加いただき、積極的に情報交換していただきました。

―お客さまにも大きなメリットがあるということですね。

 はい。さらに昨年8月、ASEAN地域や香港、インドでお客さまの融資やM&Aに対するニーズが高まっていることに対応するため、シンガポールのりそなマーチャントバンクアジアに100億円の増資を行い、財務基盤を一層強化しています。

ベトナムの提携銀行であるベトナム投資開発銀行や、横浜銀行上海支店にりそな社員を新規に派遣するなど、海外でお客さまの事業展開をしっかりとサポートできる体制をさらに強化しています。

グループでSDGsに貢献しつつ、お客さまのSDGs対応もサポート

―りそなグループは、以前からCSR (企業の社会的責任)に、積極的に取り組んでいますが、今話題のSDGs (持続可能な開発目標)への対応についてうかがいます。

 りそなホールディングスとしては、2018年に制定した「2030年SDGs達成に向けたコミットメント(Resona Sustainability Challenge 2030)」実現のために、年度ごとにアクションプランを定め、着実に歩みを進めています。

加えて、今重視しているのは、いかにしてお客さまに、SDGsの目標達成にかかわる機会をご提供するかという点です。例えば昨年8月に商品プランを拡充して第2弾の取り扱いを始めた「りそな/埼玉りそなSDGsコンサルファンド」や、昨年10 月にスタートした「みらいE-usプロジェクト」は、その一例といってよいでしょう。「みらいE-usプロジェクト」は、SDGsに関連する投資信託の販売収益の一部を寄付することで、経済的な問題を抱えている子どもたちへの奨学金の原資とするものです。

「リテールNo.1」を目指すための「深掘と探索」

―今年2020年、さらにそれ以降の取り組みについてお聞かせください。

 今年も、「リテールNo.1」を目指すという姿勢は変わりません。高度化、多様化するお客さまのお困りごとにお応えし続けるために新たに打ち出した方針が、「既存ビジネスの深掘と新規ビジネスの探索」です。

現在は、例えば24時間365日当日振り込みサービスやりそなグループアプリなど、新たな商品、サービスをどんどん投入していかないと、お客さまに付加価値が提供できない時代になっています。もちろん融資とか預金はコアな業務で重要ですけれども、今までのように、融資と預金だけではお客さまのお困りごとに応えきれません。

したがって、既存ビジネスの「深掘」をしていきながら、新規ビジネスの「探索」をやっていかないといけません。この新規ビジネスは、もしかすると金融ではなくIT支援業務のような別の世界かもしれません。とにかく、銀行や金融という枠にこだわり過ぎず、新しいサービスやビジネスにどんどん人を投入していきます。ですから、新中期経営計画では、その深掘、探索をどういう分野でやっていくかが大きなテーマになっていきます。

―いろいろな分野で何ができるのか、ウォッチしていくということですか。

 そうです。しかし、ウォッチしているばかりではなく、とにかくチャレンジしてみることがとても重要です。

われわれは、2013年、14年、15年で公的資金を返済しましたが、その頃から並行して新たな商品、サービスを企画してきました。だからこそ、昨年までの3年間で新たな商品・サービスを軌道に乗せることができたわけです。もしこの間、昔ながらの銀行業務だけに集中していたら、おそらくそれらは今や影も形もないはずです。

つまり新中期経営計画の3年間は、現中期経営計画で取り組んだビジネスを深化させつつ、新規ビジネスを探索する。これをずっと繰り返していかないと、お客さまからは必要とされない存在になってしまうのです。

りそな総研は情報とノウハウの宝庫

― 他行に先行しているデジタル化では、どのような展開を予定しているのですか。

 決済分野のデジタル化は今もどんどん進めています。現在でも支店内のペーパーレス化はかなり進んでいますが、さらにデジタル化を進め、業務を効率化していきたいと考えています。

―今年も、そうしたデジタル化を進める一方、リアルなフェース・トゥ・フェースのサービスも充実させていくわけですね。

 そのとおりです。その意味では、フェース・トゥ・フェースのコンサルティングのプロであるりそな総研の役割は、ますます重要になると考えています。

りそな総研では、さまざまな分野のコンサルティングに加え、セミナーなどの情報提供の機会も設けていますから、首都圏はもちろん、特にりそなの店舗ネットワークが充実した関西圏の企業のトップの皆さまにとっては、貴重な情報源になるはずです。約1万2,000社の総研会員をはじめ、多くの企業の方々に、ぜひご活用いただきたいですね。

本年もりそな総研ともども、りそなグループをよろしくお願いいたします。